おくらばせながらですが、マンハッタンの紀伊国屋で購入した『美しい国へ』を読んだ。


Amazonなどを見ると、読者の感想はかなり賛否両論のようである。

彼の子供の頃のエピソードなんかは、ほほえましかったりするのだが・・・・、

年金問題についての章は「ちょっとまってよ~~~~!!」と叫んでしまいそうだった。


まず、彼は国民年金には2つお得なことがあるという。


1つ目として、以下を挙げている。

『さて、たとえばいま20歳になった人が、きょうから払いはじめて、60歳までの40年間、毎月払い込んだとすると、総額はざっと800万円になる。この人が年金をもらえるのは、働いていなければ65歳からだが、支給される額は、年に79万円である。

ということは、この年金を10年間もらい続ければ、790万円になるから、ほぼ10年でモトがとれることになる。もしこの人が85歳まで生きれば、払った額の2倍の給付が受けられることになるのだ。

85歳といえば、ちょうど女性の平均寿命である。つまり、たいていの女性は、生涯の最後のほうで、たいそう得をすることになる。ちなみに男性の平均寿命は78歳なので、それほど得をしないが、それでも平均寿命まで生きた人は、払った額の1.3倍受給できる。 -中略- でも考え方によっては、こんなローリスク・ハイリターンの”金融商品”というのも、めったにないのではないか。』


現在価値・将来価値を全く無視した計算。年金運用利率をゼロとして、毎月払った額をそのまま単純に足し合わせて、それを将来受け取る金額(これもまた単純な足し算)と比べて、それで78歳まで生きれば3割「お得で、ローリスク・ハイリターン」などといってるのだ。愕然。逆算すれば年率0.5%以下ですよ!

これなら、個人で同額を毎月投資して、平均して年率3%の運用益をあげれば40年後には1500万円ぐらいになるんだけど!もちろん、年金という「死ぬまで保障」という性質はあるけれども、それにしても、無理やり利率を0%に前提して「お得だ」なんてちょっとひどくないですか?


さらに、国民年金のもうひとつのお得な点として、以下の点を挙げている。

『もうひとつお得なことがある。それは、基礎年金の給付には、税金が投入されているということだ。いま税金でまかなわれているのは、給付額の3分の1。残りの3分の2がみんなが支払った保険料だ。この税金の部分が、2004年度改革で2分の1に引き上げられることになった。2009年度からは、自分が払うのは半分だけ、残りの半分は、国が補填することになるのである。』


え!!その税金も私たちが払ったものなんですけど!間接的には国民の負担となるのに、あたかも第三者が払ってくれているかのような言い方は・・・ちょっとひどくないですか?